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Thursday, January 26, 2023

米国発、日本の伝統美容から生まれたスキンケアブランド「タッチャ」 Jビューティ人気に火を付けた手法とは? - WWD JAPAN.com

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 2009年にサンフランシスコで誕生した日本オリジンのラグジュアリースキンケアブランド「タッチャ(TATCHA)」は、アメリカではセフォラ(SEPHORA)のスキンケアカテゴリーでトップセラーになるほど知名度があり、“Jビューティ”人気の火付け役として知られる。19年にユニリーバ傘下となり現在世界11カ国で展開する。ブランドの起源である日本へはコロナ禍の21年9月に上陸を果たした。「タッチャ」は、椿や米など日本の原料を用いたスキンケアアイテムを展開し、パッケージは着物の帯や茶道のなつめ(茶器)などから着想している。創設者のヴィッキー・ツァイ(Vicky Tsai)がブランドに込めた思いとは。

WWD:スキンケアブランドを立ち上げたきっかけは?

ヴィッキー・ツァイ「タッチャ」創設者(以下、ツァイ):元々はウォール街のビジネストレーダーとして働き、それが天職だと思っていたので起業する予定はなかった。9.11を経験して人生観が変わり、自分や家族をもっと大事にしようと思うようになった。そこからハーバードビジネススクールに入学し、ある化粧品会社に携わることに。ところがいろいろな商品を試し顔の肌がボロボロになってしまった。そのとき、美容商品を売るためには、消費者に「何かが足りない」と思い込ませる必要があると知った。マーケティングで架空の世界を作り出してモノを売る産業構造、その実情を知ってそれは私がやりたいことではないと思った。

WWD:「タッチャ」は日本にインスパイアされたというが日本との出合いは?

ツァイ:スターバックスに転職し、中国に出店するため現地と行き来する生活になり、その際に通過するのが日本だった。ボロボロになった肌はワセリンしか受け付けず、ベトついた肌を抑えるのにあぶらとり紙を使っていたのが日本の美容習慣との出合い。その後、パーソナルケアとして流通している商品が環境や社会、健康に与える影響を調査し、サステナビリティについてランキングする会社のマーケティング部門を担当。そのとき初めてアメリカの化粧品業界には人の体や環境を守る規制がないことに問題意識を抱くように。その頃子どもを授かり健康が非常に気になりだしたのと同じタイミングであぶらとり紙のストックを切らしてしまった。日本人の友人にどこで買えるか聞いたときに、それが金沢で作られており元々は金箔ののし紙であることを知った。これがスキンケアブランド「タッチャ」の始まりだ。

WWD:日本のあぶらとり紙からどのようにスキンケアが生まれた?

ツァイ:金箔製造の残り紙を美容に使い始めたのが芸妓だと聞いて、化学薬品が生まれるずっと前、18世紀から続く美容の作法や文化に感銘を受けた。金沢のほかにも京都を訪ねたくさんの芸妓の方に会って美しい肌の秘密やお手入れの方法を聞き、椿油や海藻、温泉、炭の粉、米ぬかなど、昔から脈々と伝えられてきた日本の美容素材について知った。日本のおもてなしの精神にも大変癒された。持ち帰った自然素材でスキンケアをしたところ、荒れていた肌がすっかり落ち着いた。そこで、同じ悩みを持つ人に私の発見をシェアしたいと考えた。

WWD:「タッチャ」で使用している原料にもこだわりが?

ツァイ:体の中に入るものに気を使うようになりさまざまな素材を調べたが、良い素材を追求すると行き着くのはお茶や米、海藻など日本のものだった。処方を作るにあたり、世界でも指折りのフォーミュレーターである田川正人氏との出会いがあり、彼を中心とする「タッチャインスティテュート」を東京に設立した。また、資生堂で37年以上の経験を持つ田中修氏にも参画いただいた。素材や日本文化の研究を担当するオノデラ奈美を含むこのチームは、「タッチャ」の基盤を作ってきた大切な柱だ。

WWD:アメリカで支持されている理由をどう分析するか。

ツァイ:「タッチャ」ではお茶と米と海藻の抽出物を二度発酵させた成分を全商品に配合している。初期は私財を全てR&D(研究・開発)に投入し苦労したが、ブランドが大きくなるにつれなぜ効くのか科学的根拠を深くリサーチできるようになり、発酵させることでアミノ酸や乳酸菌が豊かになり素晴らしい力を発揮することが分かっている。このように改良を重ねた商品力が支持されている。また当初、おもてなしの精神の表現方法として、オーダーをくれたお客さまに必ず手書きの手紙を添えて商品を送っていた。お客さまから返事が返ってくることも多く、次第に雑誌にも掲載されるようになった。ローンチ時は借家の一角に商品を置き、商品をベビーカーに積んで郵便局まで発送しに行っていた。そこから考えると夢のような話だが、15年には米ビジネス誌「インク(Inc.)」で“アメリカで最も成長が早い女性主導の株式非公開企業”の2位に選ばれるまでになった。マーケティングには一切資金を使わず、当時は主流ではなかったソーシャルメディアを通じて商品に込めたわれわれの思いを伝えていった。

WWD:今後の目標は?

ツァイ:「タッチャ」が日本の人たちに心から愛してもらえるブランドになるのが一番の目標だ。忙しい毎日に朝晩2分でもいいから自分のためだけの時間を持っていただき、「タッチャ」が豊かな暮らしに寄り添えたらと願っている。肌のトラブルやコンプレックスから始まるスキンケアを変えたい。アンチエイジングではなくヘルシーエイジングというように、物事を前向きに捉えて自分の心と体を大切にする手伝いができたらと思う。もう一つの目標は、美容業界の常識を変えていくこと。米「WWD」が発行する「ビューティ インク(BEAUTY INC)」の21年のレポートによると、世界のトップ20のビューティ企業では女性でCEOクラスに就いている者はたった3人で、そのうち有色人種は1人もいなかった。さらにその前年はたった1人だったという現状がある。女性が起業してもある程度の規模になると必ず女性には統率能力がないという偏見で男性経営者に変わっていく。そんな業界の常識や偏見を打ち破っていきたい。

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