Rasi: 化粧品成分ハンターが選ぶ「スキンケアを変えるならこの１本」。美白・UVケアの最前線、40代からはどう使う？

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写真：Shutterstock

化粧品を賢く使う美容成分企画第二弾は、美白とUVケア。年齢を重ねると増えてくるエイジング悩みの“常連”でもある「シミ」、実はシミの種類によって有効な方法があるのだとか。化粧品成分ハンターの竹岡篤史さんに美白の歴史から覚えておきたい美白成分まで、自分に合った美白ケアの最前線を教えてもらいました。

化粧品成分ハンター
竹岡篤史さん
国立研究所にてペプチドを用いた経皮ワクチンの開発を経て、2002年から成分開発に従事。ヨーロッパを代表する美容・コスメイベント「In-cosmetics」にて2016年、イノベーションアワード金賞を世界で初めてアジアから受賞した「美容成分の仕掛け人」。その後も再生オイル、清酒由来の発酵ペプチドの研究にも携わり、化粧品を世に送り出している。最近では化粧品メーカーなどから講演のオファーが殺到。製薬企業とともに共同研究・開発を続けている。

実は美白の歴史って意外と短いんですよ

日本を含めたアジアでは美白化粧品の認知度は高いですよね。ですが、欧米では今でこそ知られていますが、シェアとしてはまだまだ低いんです。実は、日本の美白の歴史もそんなに昔からあるわけではないのです。

1990年頃のシミ研究といえば、「できてしまったシミ」を悪化させない、つまりはシミをひどくさせない研究がほとんどでした。コウジ酸・アスコルビン酸(V.C.)誘導体・アルブチンなどたくさんの美白剤が誕生したのも、ちょうどこの頃です。
2000年頃からは「メラニンを作らせない」アプローチの方法へと拡大していきます。現在のシミへのアプローチはこの２つが主流で、美白製品の80〜90％を占めています。この歴史もたった30〜40年ほどしか経っていないんですよ。

美白の歴史について調べてみたことがあるのですが、最も古いのはプラセンタなんです。今では血行促進機能やシミ、しわ、くすみなどをケアしてくれる成分として知られていますが、当時は美白はもちろん、メカニズムも不明瞭だったのです。
それが最近になり、技術の進化で精製されたり、発酵されたりと美肌作りに欠かせない注目の成分になっています。

美白研究は年を重ねるごとに進化してきた

1990年年代
「シミを悪化させない」ケア　
メラニンを作らせないものが主流（チロシナーゼ阻害剤）

2000年〜
「シミを作らせない」ケア　
その１）　事前ケア　炎症抑制で根本＆事前ケア
その２）　事後ケア　代謝やターンオーバー促進で後ケア

2024年の美白ケアは、シミを作る前の“先手ケア”に注目

この30〜40年間の歴史でも研究や技術の進化は目覚ましく、メラニンへのアプローチも細分化してきて、もうアプローチするところがないんじゃないかってくらい網羅しています（笑）。ですが、それでもあっと驚かせてくれるのが美白化粧品なんです。

実は数年前からシミができてしまう、その1歩前の段階でのケアができないか、という流れがあって。今回、メラニンを作るきっかけとなる「炎症」に着目したのです。

ここで肌のメカニズムについて説明しておきましょう。

紫外線を浴びると肌に炎症作用が起こります。この炎症サインがメラニンを作りましょう、とメラニンを作る工場（イラスト中央にあるメラノサイト）にシグナルを送っているのです。

先にお伝えした通り、メラニンの生成を抑える対策はいろいろありますが、今回は炎症サインのシグナルを送らせないようにしましょう、というアプローチになります。まさに先手必勝のケアであり、それを実現したのがコーセーの雪肌精とポーラのホワイトショットになります。

雪肌精に配合した甘草由来成分W-グリチルレチン酸ステアリルは、美白と肌荒れの二つの効果を持つ有効成分。シミを作る司令を発信する根源である炎症サインを食い止めましょう、という働きをします。
ホワイトショットは新たな成分・技術があれば積極的に採用しているのも特長で、美白有効成分ルシノールに加え、肌荒れから起こる“しつこいシミ”対策として、グリチルリチン酸２Kを新たに配合しました。シミが増え、どんどん深みに入ると肌の奥（真皮）に落ちてしまいます。真皮に入ってしまったシミのケアは本当に大変なので、真皮落ちする前に何とか食い止めたいですね。

両製品に配合されている「グリチルリチン酸」という美容成分は肌荒れ効果として、すでに多くの化粧品に使用されています。ですが、今回、グリチルリチン酸をそれぞれに進化させているのです。特に雪肌精の甘草由来成分は炎症ケアのみならず、美白の有効成分として取得しました。炎症ケアは肌荒れやニキビ治療などで聞き慣れていますが、実は美白ケアにも大きく関与しています。