自分に自信がもてなかったタレント時代
短大を卒業後、20代前半の頃にスカウトされて芸能活動を始めたソンミさん。父がカジノ経営というスペックをフックに、多くのバラエティ番組に出演し、セレブタレントとしてブレイクした。「最初からわかりやすいキャラクターで打ち出そうという事務所の意向が強く、正直戸惑うことも多かったです。準備期間もなく次々と有名な番組に呼ばれるなかで、結果を残さなきゃいけないプレッシャーだったり、日々出会う芸能人と自分を比べて劣等感を抱いたり、傷つく言葉を目にしたり……。そんな毎日が続いて肌も荒れたし、自信もどんどんなくなっていきましたね」
あるとき、冷静に人と自分の容姿を比べて、「今から身長や骨格を変えることは無理だから、それなら今あるチャームポイントを伸ばそう」とマインドを修正したそう。「私は肌の白さを褒められることが多かったので、そこを磨くことが自信をつける近道になるんじゃないかと。でもその頃はスキンケアへの意識が全くなくて、お給料が入れば服ばかり買っていたし、食生活の大切さも考えていなかったんです。『肌が白いね』から『肌がキレイだね』と言われるようになりたい。そこからスキンケアの研究を始めました」
デパコスからドラッグストア系、サロン専売品まで、あらゆる化粧品を試しながらスキンケアに向き合ったソンミさん。1,000点以上使ったなかで、本当によいと思ったコアなコスメ情報をInstagramに投稿し始めたところ、続々と反響が届き出す。「実際に買って試したら本当によかった、というDMがたくさん来るようになって。私がすすめた物で誰かの悩みが解消されて、喜んでもらえたことがすごくうれしかったです。それまで自信をなくしていましたが、みんなからの“ありがとう”の言葉で、少しずつ自己肯定感が上がっていきました」
好きが高じて作る側に
美容情報の発信を続けよう――、とはいえ本当にすすめたいコスメは数える程度。「なかなか投稿できない状況にいたとき、『それだけコスメが好きなら、自分が求めるものを自分で作ってみたら?』と周囲に背中を押されました。その頃、炭酸ガスパックがサロン専売品しかないことに疑問を感じていて、一般向けの商品があればいいのにと思っていたので、じゃあこれを自分でやってみようかなと。理想のアイデアがすでにあったので、そこから完成、ブランド『ミース』の立ち上げまでは割と早かったですね」。炭酸ガスパックのあとは化粧水、日焼け止めと、自分の理想のアイテム作りを次々と広げていった。
とことん突き詰めるアツい主義
「よくも悪くも私は研究者ではないから、純粋な目線でたくさん疑問がわくんです。たとえば、商品の成分表示に書いてある水って何の水なんだろう?とか。それは煮沸消毒された水道水で、研究者にとって当たり前のことなんですが、でもその水の栄養素って? 他に使える水はないの? そういう私の細かい疑問から話し合いや課題が生まれて、最終的に自分で北海道に行って海洋深層水を選んできたりしました。
また、通常の製品開発は先に大体の価格帯を決めてから進めるものが多いそうですが、私は作りたいものがまず頭にあって、いろいろな工場でサンプルを試して、納得できる処方を見つけて初めて原価を見るので、毎回価格に驚きます。工場も、普通は同じ工場で作る場合が多いですが、私は各工場の持ち味を見て、製品ごとにベストな場所を日本各地から選びました。厳しい経営の視点があまりないからできたやり方だとも思います(笑)」
ある日を境に状況が一転
最初の年の社員は自分一人。当然PR担当もいないため、毎日インスタライブで商品のよさを地道に伝え続けた。そんな「ミース」に、ローンチ1年後大きな転機が。「朝起きたらサイトがパンクしていて。調べたら人気の女優さんがInstagramでパックを紹介してくれていたんです。その後も他の芸能人の方々が自発的にメディアで紹介してくれる機会が続いて、一気に広がりました。その年末にポップアップストアを大阪で展開したのですが、そのときの売上げが同百貨店のポップアップの化粧品部門で歴代1位になりました。
“1週間で必ず変われるスキンケア”を目指してやってきたことが伝わったように感じて、本当にうれしかったです。あとは、この会社自体に共感や憧れをもってもらいたかったので、開発過程をインスタで見せたり、社員採用も『ミース』を好きでいてくれる方の中から選ぶためにインスタから募集をかけたり、会社の中を全部見せてきたのもよかったのかも。普通の会社の常識を知らないので、自分の感覚でこんな会社がいいなと思う会社作りに努めています」
美容手当を毎月つけるなど、従業員満足度も最重要視しているミース。社員募集をすると500人もの応募が殺到するそう。
肌も、食も。ホリスティックな美しさを理想に
美肌研究家として日々学んでいるソンミさん。「2年半前から本格的に料理と栄養学を学び、食と美容が深くつながっていることを知り、意識が変わりました。実際、『ミース』を使っても肌が変わらなかったユーザーにヒアリングをすると、自炊せず外食ばかりで食生活が乱れている人が多いんです。スキンケアも大切だけど、何よりも重要なのは内側からのケア。いろいろな食事法がありますが、まずはシンプルに水分をしっかりとること。そして良質な油をとり、糖質・脂質はとりすぎない。そうした食生活が、美容液をプラスするよりもずっと効果的ということを伝えたいんです」
食から肌を支えたいという強い思いから、2022年には食べるスキンケアブランド「アンドミール」もローンチした。「こだわりを突き詰めるって、いざトライするとこんなにも面倒くさくてお金がかかるものなんですね。どうして市販の食べるスープにはもっと具材がゴロゴロ入っていないんだろうと思っていましたが、自分が自社工場でやってみて、充填機に具材が入らないから手作業で入れることになり、効率的じゃないからだとわかりました。でもそういう少しの手間暇が、人の体や肌、人生をより速いスピードで変えていける、そして変えた先に幸せがあると信じているので、手間を惜しまず心を込めて作っています」
ワクワクと使命感を胸に
シンガポールの路面店に続き、現在も海外での展開が絶賛進行中。「自分の製品が国境を超えて広がっていくことにワクワクしています。今後も期待を超えるものを作らなきゃという思いです。私自身が作りたいものは一旦すべて作りきったので、新しくユーザーからアイデアを募り、プレゼン大会を経て決めるという取り組みを実施しました。数百の中からデリケートゾーン用美容液に決まり、そのユーザーと一緒に開発をしていく過程も刺激的でしたね。
この数年間、肌悩みがなくなったことで人生が大きく変わった人をたくさん見てきました。私の使命は自分がよいと思う製品を作り、いろんな肌悩みをもつ人に届けること。肌に自信をもてる人を増やすことで社会貢献できると信じて、今後も製品を作っていきます。次の1月で私も35歳。将来は子供もほしいので、休みがない今のペースに不安も感じますが……(笑)。自分自身が充実して心豊かでいることも、よりよいものを生み出すためには大事なので、うまく両立しながら頑張っていけたらと思っています」
メイクは白肌を生かす赤リップ+キャットラインが定番
「モードなファッションとキリっとした女性像が好きで、いつもリップはパキッと赤にし、キャットラインで目元に強さを出します。ベースはツヤ肌が基本なので、バランスを考えてリップはマットに。『ランコム』のこの1本は自分に合う発色と、唇にフィットして一日中落ちにくいところがお気に入り。『ボビイ ブラウン』は少しピンク寄りの色味で、スルスル塗れる使い心地と上品なツヤ感が好きで、気分で使い分けています。アイライナーはお湯オフかつ、筆の細さが絶妙で描きやすい『ディーアップ』一択。香水は、持ち運びやすくサッとつけやすい『タンバリンズ』の練り香水のメンズライクな香りと、爽やかなムードの『The New Error』にハマり中」。赤リップを引き立てるために、チークは入れないのがソンミさん流。
インナービューティは冷え&美肌ケアを意識
「私は体が冷えがちなので、氷入りの冷たい飲み物は年中とらず、必ず常温を心がけています。最近は冷え体質の改善のために、韓国の「金昭亨(キムソヒョン)韓方クリニック」で調合してもらったオーダーメイドの漢方を1日2回飲んでいます。「BHY」の臓活茶も最近気に入って飲み始めたら、そのおかげかあまり冷えなくなってきました。朝は食物繊維をしっかり意識した朝食を。小腹が減ったときは干し芋やドライイチジク、『アンドミール』の有機オートミールのクッキーなど、できるだけシンプルで安心素材のおやつを食べます。食事は就寝4時間前に終えるのもMYルールです」
ファッションでも美肌の存在感がカギ!
抜群のスタイルとファッションセンスもソンミさんの強み。「ファッションは大好きで、ワードローブに多いのは『フェティコ』『ザ・ロウ』『ジャックムス』あたり。シルエットとヘルシーな肌見せをいつも意識していて、足首や腕、背中など、どこかで必ず肌を出すのがこだわりです。このトップスは最近韓国で人気の注目ブランド『ロウクラシック』。『ザ ロウ』のバッグ“ソフィア”は女性らしいなかにも遊び心があって、エレガントすぎずに持てるところが可愛いんです」
肌に寄り添う美シルエットなジュエリーたち
デザインの美しさに惹かれて選んだ自慢のジュエリーコレクションは数えきれないほど! これはほんの一部。「インスピレーションも大事にしつつ、エッジの効いた遊びのあるものをよく身につけます。格式が高くなかなか手に入らない『ティファニー』の“ジャン・シュランバージェ”シリーズは、この先子供ができたら受け継いでほしいという思いもかねて。ピアスはネックレスの長さをリメイクした際に作ってもらった、世界にひとつだけのピースなんです」
旅でビューティチャージ&インスピレーションをハント
仕事で時間に追われる日々を過ごしているため、リフレッシュのために森や海などの自然に触れる旅によく行くそう。「美の刺激を受けたり、気づきやインスピレーションを得られるので、旅はとても大切です。そこで出会うスパやエステ、コスメなど、国によって違う美容や美意識に触れて美容情報をアップデートするのが楽しい。食べるのも好きで、旅先でたくさん食べ歩いて食事アカウント (@sonkichi0111) にまとめています。世界中にお気に入りのレストランがあるので、友人におすすめを聞かれることもしばしば。幹事をすることも多いんです」
<プロフィール>
パク・ソンミ(Pak Sonmi)
美肌研究家。美容全般を発信する“美容家”ではなく、肌に特化した発信を行い人気に。美肌のための食生活、アクティブなライフスタイルでも注目を集める。“美肌は最高のジュエリー”をコンセプトとしたスキンケアブランド『ミース』をはじめ、フード事業「アンドミール」、エイジングケアに特化した「クレイビュ」を手がける。
Photo:MASAYUKI ICHINOSE/eight peace Hair&Makeup:nagisa/W
からの記事と詳細 ( 【ビューティストという生き方】美肌研究家ソンミさん編 - ELLE JAPAN )
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