「免疫力が弱まっていたので、今ならコロナにかかってもおかしくなかった。苦しまないで逝けたのだから、良かったのかな。いいように考えるしかないですね」
東京都台東区の斉藤広子さん(77)=写真=は今年一月三日、夫の善計(よしかず)さんを亡くした。享年八十四。持病で入院中の昨年十一月に院内でインフルエンザに感染し、それ以来、面会できなかったが、深夜に容体急変の連絡を受け病院へ駆け付けた。枕元で「お父さん!」と声を掛けたが、翌日息を引き取った。
新型コロナウイルスの感染が広がり、広子さんは独りで家にこもる日々が続いた。ハイキング仲間が電話をかけてくる時もあるが、気が付けば一週間、十日と人と話していない。だから、五十五年連れ添った夫のことを考える。
帽子の生地を裁断する職人で、家で仕事をしていたからずっと一緒だった。二人の子宝にも恵まれた。
「時間が解決してくれる『時間薬』ってあるそうですが、即効性はないんですね。まだ私には効いていません。寂しいです」
最近は、暗くなると近所の小さな公園に行って空を見上げる。南の方角にひときわ輝く星を見つけた。「子どものようだけれど、夫が星になったと思うんです」。そうして広子さんは星に語りかける。
「独りぼっちになってしまったけど、頑張っています。コロナが一日でも早く終息するよう力を貸してね。いつか隣の星になったときに『大変だったね、よく頑張ったね』と褒めてくださいね」
泣かないと思っても、いつも涙で星がかすんでいく。 (井上幸一)
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