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Saturday, February 22, 2020

大衆演劇の星 劇団美山 迫力!妖艶!大入り舞台「毎回が勝負」:放送芸能(TOKYO Web) - 東京新聞

1月、東京・浅草木馬館で華麗な舞踊ショーを披露する里美たかし(中央)ら

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 幕が開けば時代劇の人情芝居、絢爛(けんらん)豪華な舞踊ショー。舞台と客席の距離が近く、レトロな雰囲気の大衆演劇の世界からブレークした劇団がある。迫力の殺陣、美しい所作、女形の妖艶な目線で酔わせる「劇団美山(みやま)」。大衆演劇の伝統を踏まえつつ、新たな感性を織り交ぜ、舞台で日々勝負、大入り満員を続けている。これぞクールジャパンの極みと、舞台の表裏をのぞいてみた。 (藤浪繁雄)

 二月一日、茨城県つくば市の温泉健康ランド「スパ湯〜ワールド」の大広間には、あふれんばかりの熱気が漂った。公演初日。座長の里美たかし(34)らが笑いと涙の人情芝居に続き、歌謡曲やJポップなど多彩な音楽ときらびやかな着物姿の美しい踊りのステージで魅了。満員の客席は大喝采、ご祝儀を手渡す人も相次いだ。

 終演後、たかし座長ら演者たちはロビーに出て観客一人一人と握手したり、一緒に写真を撮影したりと、丁寧なファンサービスに努める。大衆演劇界ではおなじみの光景だが、たかし座長は「お客さんと会話し、顔を覚える。次に来てくれた時に生かせるので、大切なひととき。ファンになってもらうチャンスです」。

 入浴がてら観劇した人だけでなく、劇団の“追っかけ”も多い。東京都新宿区の大学生、橘希乃(のの)さん(23)は「一月に見て一目ぼれしました。リアルに天使を見ているみたい」とうっとり。友人で同青梅市の保育士芳野七海さん(24)は「座長から若手、女優も高い技術を持ち、何より舞台が美しい」と、こちらも熱い。

芝居でも引きつける(たかし座長は中央(左))=いずれも冨田実布撮影

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 劇団美山の歴史は長く、前身劇団の誕生は一九〇三年。たかし座長は九七年、亡父の後継として十二歳で座長になった。現在、劇団は若手を中心に十余人。たかし座長は七難八苦を乗り越えて、この数年で急成長させた。「毎回が勝負。結果を残さないと(劇場などから)呼んでもらえなくなる」と真剣そのもの。古典の芝居にも独自の解釈を取り入れ、劇中音楽も斬新な曲にするなど新たな感性で打って出て、口コミやSNSでもファンを増やし続けている。昨年は映像作品付きの写真集も出し、これも呼び水となった。

話題を集めている映像作品付き写真集

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 芝居は約百の演目がある。日替わりで、昼夜異なる作品を披露する。夜の部が終われば、深夜まで翌日の稽古。妥協せずストイックに舞台と向き合う。「そりゃ、きついっすよ。好きじゃないとできないね」と笑う。この姿勢に若手も大いに感化される。昨春入団した十九歳の里美花太郎は「ふだんは明るくふざけていても、気合が入った時や『俺についてこい』という統率力はすごい。ああいう男になりたい」と語る。

 一月は大衆演劇の“聖地”東京・浅草木馬館で公演。大入りを五十回以上出し、近年ではかなりの好成績を記録した。劇場を営む篠原淑浩社長(66)は「よく頑張っている。座長は苦労してきただけに根性がある」と称賛する。

 木馬館では楽屋で寝泊まりし、舞台に集中した。たかし座長は「これからは一月の数字が基本になる。プレッシャーもあるが、幕が開いてしまえば大丈夫。やるしかないから」と前向きだ。大いなる野望もある。「もっと勉強して海外で上演したい。食い付いてもらえる自信はある」。つくばでの公演は二十八日まで。三月は横浜市の三好演芸場、四月は埼玉県川越市の湯遊ランド「小江戸座」、五月は東京・十条の篠原演芸場と続く。

終演後は観客を送り出す。握手や写真撮影もOK=東京・浅草で

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◆浅草→つくば 休みなく大移動

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 一月三十日午後九時ごろ、劇団美山は浅草木馬館公演を終えた。観客を送り出すと、間髪入れずつくばへ移動。千秋楽公演の最中、大きなトラックが劇場に横付けされ、衣装やかつら、大きな装備などが次々運ばれた。つい先ほどまで使っていた道具や楽屋回りの物品も積み込み=写真<1>、同十時ごろ出発。劇団員はマイクロバスに乗った。

 同十一時ごろ、つくばの会場に到着すると、直ちに搬入開始。「搬入を終えないと、自由時間にならないから」と役者たちはテキパキ動く。たかし座長が部屋の間取りなどを見て、楽屋をどのように使うか瞬時に決める。楽屋を整え、照明や音響装置のセッティングにも取りかかる。

 三十一日午前二時ごろにようやく食事。舞台準備は早朝におおむね完了した。この日は夕方の稽古までつかの間の自由時間で、翌二月一日午後一時、無事初日の幕は開いた=同<2>。

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◆大衆演劇 全国120の劇団 低料金も人気に

 大衆演劇は江戸期や明治期からあったとされ、現在は木馬館などの専門劇場や、健康ランドのような施設でほぼ毎日上演されている。芝居と舞踊ショーの組み合わせで、1日2回上演し、1カ月単位で次の土地に移るのが基本。全国に約120の劇団があるといわれる。大衆演劇情報誌「KANGEKI」の編集に携わる久下尚史さんは「随分前には1週間、昭和50年ごろは半月で移動していたが、衣装やかつらなどの荷物が増えたこともあり延びていった」と背景を説明する。

 低料金も人気の秘密。木馬館と篠原演芸場では1700円で3時間半楽しめる。日替わり演目や演者とじかにコミュニケーションが取れることも魅力で、1カ月で10回以上足を運ぶ人も珍しくない。両劇場を経営する篠原社長は「昭和20年代は都内に約50軒の大衆演劇の劇場があった」と話すが、今や数軒。ちなみに木馬館の大入り記録は1984(昭和59)年1月。梅沢富美男が前年の大みそかのNHK紅白歌合戦に出場した直後の公演だった。

 劇団数は増えたとされるが「個々の劇団のメンバーは減少気味」と言うのは、大衆演劇の役者としても活動歴がある京都文教大学の鵜飼正樹教授。座長の家族や身内が新たに旗揚げする例もあり、「10人以上在籍する劇団は少ないのでは」とみる。また、「80年代は近所の人が劇場にぶらりと足を運ぶなど地域に密着していたが、近年は個別の劇団ファンが増えた。こうした人気劇団は公演地が広域化している」と話す。

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February 23, 2020 at 06:07AM
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