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Thursday, January 9, 2020

ベテルギウスよりも先に爆発しそうな「赤い新星」は見つかるか - Business Insider Japan

いっかくじゅう座V838星

いっかくじゅう座V838星。

NASA/ESA/The Hubble Heritage Team (STScI/AURA)

  • オリオン座の赤い超巨星 「ベテルギウス」 が急激に暗くなったため、超新星爆発が近いと推測されている。しかし、それは100万年後かもしれない。
  • 超新星爆発より頻繁に起こるがあまり知られていない星の最期としては、「赤色新星(red nova)」がある。言ってみれば大きい星が小さい星をちぎって食べてしまう現象だ。
  • 天文学者のラリー・モルナー氏と同僚は、赤色新星の研究に取り組み、最終段階に近い7つの星を特定した。
  • 現在行われている夜空の調査で、10年後に赤色新星になる候補者が見つかるかもしれない。

巨大な星が爆発する超新星は、自然界で最もすばらしい光景の1つだ。オリオン座にある真っ赤な超巨星ベテルギウスが、急激に暗くなったことに多くの人が興奮しているのはそのためだ。この急速な変化は、この恒星がまもなく宇宙に向けて内部の物質を放出し、満月の半分の明るさで何カ月も、日中でも見えるほどに輝き続けることを意味している可能性がある。でも、そうではないかもしれない。天文学者たちは、ベテルギウスの減光は、最後の燃料の残骸を燃やしているだけで、超新星とは別のフェーズである可能性が高いと考えている。「ベテルギウスの明るさは常に変化している。爆発するまでには100万年かかるかもしれない」と、カルバン大学の天文学者、ラリー・モルナー(Larry Molnar)氏はBusiness Insiderに語った。しかし、死ぬまでに爆発する星を見ることがあなたのToDoリストにあるなら、まだ希望を失わないでいい。モルナー氏らは何年も前から、「赤色新星」と呼ばれるあまり知られていないが非常に明るい星を研究してきた。この現象は、太陽ほどの大きさの2つの星が同じ軌道上に押し込められたときに起こる。ある時点で2つの星は融合し、何兆トンものプラズマを宇宙に放出し、それまでの数千倍もの輝きになる。モルナー氏らは、赤色新星になる直前の段階にある7つの連星系を候補として特定した。さらに将来的により多くの候補を特定し、予測する新しい方法を提案している。もしそれが正しければ、天文学者も天体観測が好きな人も、何年か前にその現象が起こることを知り、はるか遠く離れた快適な場所からその現象を観察できる。

超新星の代わりに赤色新星はいかが

超新星を見ることができるのは極めて珍しくで、驚くべき光景だ。そのような爆発は銀河全体よりも明るく輝く。しかし、アメリカ航空宇宙局(NASA)によると、長さが約10万光年の天の川銀河にある数千億個の恒星が超新星になるのは、50年に1個の割合だ。そして、次の爆発が地球から約643光年のベテルギウスのように、肉眼で容易に確認できるという保証もない。

赤色新星は、星の最期を目撃しようとする次善の策だといえる。過去の例では、それは10年に一度、地球から見ることができる。

最近知られている赤色新星は、2008年に突然爆発したさそり座V1309星で、そうだった可能性のある別の星は、いっかくじゅう座V838星(記事冒頭の写真)だ。V838星は2002年に突然閃光を発し、一時的に太陽の60万倍明るくなり、天の川銀河で最も明るい天体となった。

天文学者たちは、いっかくじゅう座V838星が赤色新星であると確信しているわけではないが、ハッブル宇宙望遠鏡は膨張するガスと塵を捉えている。2006年に研究者たちは、ハッブル宇宙望遠鏡による写真8枚を加工して、赤い新星の進化を示すアニメーションを作った。

いっかくじゅう座V838星のアニメーション

ハッブル宇宙望遠鏡の写真を使って、いっかくじゅう座V838星の爆発の様子を表すアニメーションが作成された。

ESA/Hubble (M. Kornmesser & L. L. Christensen)

モルナー氏は、2017年に赤色新星として爆発しそうな連星KIC 9832227を見つけたと考え、2022年頃に爆発すると予測した。しかし、別の科学者がモルナー氏が使っていた1990年代のデータに微妙かつ重大なエラーを発見したため、その予測は取り消すことになった。「今は、この星たちがすぐに爆発することがないという強い理由がある」と彼は言った。

しかし、このことがモルナー氏の探索を思いとどまらせることはない。

赤色新星が起こる仕組み

KIC 9832227

連星系「KIC9832227」のコンピューターによるモデル図。

Calvin College/Cara Alexander, Daniel Van Noord, Chris Spedden, and Larry Molnar

赤色新星は、太陽に似た恒星の約500個に1つが接触連星と呼ばれるものであるため、10年に一度程度は見ることができる。そのような連星系の近くに行ければ、それは巨大な光るピーナッツかボーリングのピンのように見えるだろう(上図のように)。しかし、この親密な関係は死のダンスでもある。

赤色新星が誕生するまでの仕組みはまだ誰にもわからないが、モルナー氏と彼の同僚がそれらを定義し、要件に合う星を見つけることによってそのアイデアを検証しようとしている。

モルナー氏は、2つの星が、地球や月と同じように、公転と自転が同期していると考えている(つまり、同じ面しか見えない)。これを「潮汐固定」という。

大きい方の星は、小さい星よりも何十億年も早く老化する。これは、より強い重力が、水素をヘリウムに高速で融合させるためだ。モルナー氏の最近の研究によると、星の中心部で水素が不足すると、事態は明らかに悪化するという。水素の少なくなった大きな星は外側に膨張し始める。このアンバランスを打ち消すために、小さな星の軌道は変化し、その物質を大きな星に奪われていく。

「このフェーズは非常に長くゆっくりとしていて、小さな星が物質を徐々に失っていく」とモルナー氏は言う。

しかし、これは永遠には続かない。小さい方の星は、大きい星の質量の10%から15%にまで縮んだ後、大きい方の星に向かって行き、より速く回転し始める。この最後から2番目の段階は1000年から1万年続くと見られている。

「最終段階は2つの星が十分に近づいて、小さい星は内部から物質を失い始める」とモルナー氏は言う。

「まるで庭のホースが頭の周りをぐるぐる回っているように」

ガスを放出すると小さな星はさらに速く回転する。モルナー氏は、この暴走の約10年後に壊滅的な結末を迎えると考えている。

「小さい星の物質が落下することで大量のエネルギーが放出される。それは大きな星の外側を押し出して巨大な爆発を起こし、それが赤色新星だと見られている」

2つの恒星の大きさなどの要因にもよるが、この融合によって、太陽がその数十億年の寿命で生み出すエネルギーと同程度のエネルギーが、非常に短い期間で放出されている可能性がある。

7つの赤色新星候補

天の川銀河の想像図

天の川銀河の想像図。2本の大きな腕と2本の小さな腕が、中央の棒の端に付いていることを示している。

NASA/JPL-Caltech

赤色新星に至る段階を推測した後、モルナー氏のチームは夜空にある膨大な数の星を調査して候補を探した。

チームはOGLEと呼ばれる25年間にわたる星の調査結果から、18万4000の接触連星系を発見した。スーパーコンピューターでデータを処理した後、最終段階に近い1000年から1万年の間にあると思われる7つの連星系が候補として浮上した。

モルナー氏は、2019年1月にシアトルで開催された第233回アメリカ天文学会(ASS)で、その候補とそれにつながった研究成果を発表した。

「この7つが今後10年間で爆発するとは思わない。しかし今後1000年から1万年のうちにすべてが融合するだろう」と同氏は言う。

「ベテルギウスや他の星と比べてもかなり短いが、それでも待ちきれないほど長い。あなたは生きているうちにそれを見たいと思っているだろう」

彼のチームは、2020年1月にハワイで開催された第235回AAS会議で、赤色新星のライフサイクル予測の背後にある観測の証拠を提示した。最終的には、約10年以内に爆発する候補を見つけようとしている。1つの問題は、OGLEが銀河中心部に向かって狭い範囲の星しか見ていないことだ。

そのため、研究チームは現在、地球に脅威を与える可能性のある地球近傍天体の観測など、他の夜空の長期調査から得たデータも活用して、より多くの接触連星や赤色新星候補を見つけようとしている。

統計的には、100個以上の「最後から2番目の段階」にある星が見つかれば、10年以内に1つが爆発する可能性がある。

「調査対象の中に1つはあるに違いない」とモルナー氏は言う。

「我々は積極的かつ迅速に観測しなければならない。2008年に現れた赤色新星は調査データに載っていたが、誰も調べていなかった」

[原文:Betelgeuse likely won't die as a supernova in your life. But astronomers are finding 'red nova' stars that may soon violently explode.

(翻訳、編集:Toshihiko Inoue)

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