知っておきたい、がん治療による肌への影響
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2019年1月時点で、アメリカにはおよそ1,690万人ものがんサバイバーがいるとされ、2030年までに2,200万人に増加すると予想されている。自分の身近にこの病気と向き合っている人がいても、気になるのはおそらく治療方法と回復だろう。しかし、がん治療による副作用として「体の最大臓器」である肌に影響が出ることはあまり知られていない。肌が乾燥しやすくなったり、炎症を起こしたり、冷えはもちろん、特定の素材や成分に敏感になったりするのだ。
臨床皮膚科医かつメディカルスキンケアブランドEpionce創設者のカール・ソーンフェルト博士は、がん治療によって皮膚に大きな負担がかかり、バリア機能にダメージを与えると説明する。その結果、皮膚の菲薄化、発赤、乾燥、鱗屑(りんせつ)、色素沈着、皮膚潰瘍などを引き起こすことがあるそうだ。さらに皮膚科医のデンディ・エンゲルマン博士は「化学療法や放射線療法を受けると皮膚トラブルが発生することがあり、丁寧な肌のケアが大切です」と強調する。
スキンヘルスブランドのVeracity Selfcare顧問で皮膚科医のアンジェラ・ラム博士によると、がん治療中の皮膚はフリーラジカルの影響を受けやすくなるため、質感が変わったり、厚く感じたりすることがあるという。「患者さんの多くは化学療法後に肌がより乾燥しやすくなると感じます。放射線が照射されていた部分については、皮膚が厚く感じられ黒ずんで見えるかもしれません。化学療法剤によっては特有の発疹や予想される反応が出ることもあり、対処できるとはいえ驚くのも仕方ありません」
がん治療中に気をつけたい、プロダクトの選び方やスキンケアルーティーン
「さらなるダメージや乾燥を引き起こす可能性のある成分や処方を避けましょう」とソーンフェルト博士。皮膚バリア研究のパイオニアであり、1997年に皮膚バリアの健康について初の特許を取得した背景を持つ彼は、肌に栄養を与える保湿成分を配合した優しいアイテムを使うことを推奨する。同様に、染料やパラベンを含まない、マイルドで無香料の洗顔料を使ったスキンケアルーティーンを提案するのはエンゲルマン博士。研磨剤の少ないアイテムとして泡クレンザーを挙げている。「ぬるま湯で優しく洗い、毛穴を開かせてクレンジングをしましょう」。熱すぎるお湯は肌から油分を奪い、刺激や炎症を引き起こす可能性があるため注意が必要だ。そのあとはアルコールフリーのマイルドトナーでケアし、角質除去はスキップして保湿に重点を。「低刺激性かつ敏感肌や乾燥肌用のアイテムで少なくとも1日2回は保湿しましょう」とエンゲルマン博士は続ける。「刺激の強い過酸化ベンゾイルやレチノイドなどの使用可否は治療や光過敏症などによって変わってくるので、まずは専門医に相談してください」
ボディケアについては、刺激のある有害成分を含まない乾燥肌用の石鹸で洗うことをエンゲルマン博士はすすめる。少なくとも1日2回は保湿をし、刺激や乾燥を防ぐために手洗い後の保湿も欠かさないようにしたい。「低刺激性で無香料のローションやボディバター、ミネラルオイル、ベビーオイルは、乾燥肌やひび割れ肌、かゆみ肌を改善してくれます。お風呂直後に塗り、水分が蒸発する前に肌の水分バリアに閉じ込めるようにして身体に潤いを保ちましょう」。さらに忘れてはいけないのが日焼け止め。「酸化亜鉛を含んだミネラルのブロードスペクトラム日焼け止めはマストアイテム。化学療法薬は光過敏症やアレルギーを引き起こす可能性があるので、冬でも毎日欠かさず使うようにしてください」。あるいはUVカット機能付きの服を着るのもひとつの手だ。
避けたい成分と、有用な成分がある
「硫酸塩やパラベン、香料や染料などの一般的なアレルゲン、アルコール度数の高いもの、防腐剤など、皮膚の脂質を除去してかゆみにつながる刺激の強い成分は避けてください」とソーンフェルト博士。さらに、香水、コロン、アフターシェーブなどのアルコールベースのアイテムも避けたい、とエンゲルマン博士は付け加える。Veracity SelfcareのCEO兼創設者であるアリー・イーガンは、香料、タルク、PEGといったホルモンかく乱物質を避けるべき理由も述べる。「パパイヤ、ラベンダー、大豆、グルテンのような天然成分でさえもホルモンを刺激し、模倣・破壊する可能性があります」という。「私たちは平均して85,000種類もの有害な化学物質に囲まれて生活しています。なるべく摂取を最小限に抑えましょう」
からの記事と詳細 ( がん治療による肌の影響。有用成分や、おすすめのスキンケアルーティーンを皮膚科医が解説 - VOGUE JAPAN )
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